売却成功の3ステップ
不動産売却の基本的な考え方を学ぶ
不動産売却を成功させるためには、売却にかかわる基本的な考え方や費用、不動産会社の選び方について把握しておくことが大切です。まずは不動産売却にかかわる基本的な考えについて見ていきましょう。以下のような心構えは、売り主本人が持っておくべきものです。物件を購入希望者へ魅力的にアピールし、成約に結びつけるためのポイントについてご紹介します。
買い主と売り主はパートナー
不動産売却において、買い主と売り主は同列の存在です。「売ってやろう」「買ってやろう」ではなく、それぞれが不動産売買にかかわるパートナーといった意識を持つことが大切です。互いに尊重し合い、低姿勢で接することは気持ちのよい取引につながります。
物件の価値を再確認
不動産にはさまざまな価値があります。たとえば「北向きの窓」という条件は、日当たりの関係で敬遠されがち。しかし、そこから眺める風景がすばらしいものであれば、物件の魅力としてアピールできます。不動産売却をする際には、ご自身が把握しているメリットだけでなく、“誰かにとっての価値”を探す作業も行いましょう。
売却理由は前向きに
買い主にとって売却理由は気になるポイントです。「もしかして、何かトラブルがあったのでは?」と勘ぐられることもあるでしょう。そのため、なぜ売却しなくてはいけないのか、その理由はきちんと伝えることが大切です。ただし、ここで「間取りが使いにくい」といったネガティブなこと言えば、評価が下がるおそれもあります。「自分たちには合わなかった」などの表現を用いるような工夫をし、前向きな理由としましょう。
購入時を思い出すのもおすすめ
「物件の魅力がなかなか見つからない」ということであれば、ご自身がその家を買ったときのことを思い出してみてください。「夏に吹く風が気持ちよかった」「天井が高くて開放感があった」といったことに加え、「近くにスーパーがあって便利だった」「教育水準の高い学校があった」など、周辺環境のことなども、きっと気にされたでしょう。こうした魅力が伝われば、購入希望者はきっと現れます。
売却にかかわる費用を学ぶ
不動産売却を行う上では、最終的に手元に残るお金を知っておく必要があります。この際にポイントとなるのは各種費用や税金です。以下で、不動産売却時における費用をまとめます。
印紙税
売買契約を結ぶ際には、「経済的取引などに関連して作成される文書に課税される税金」が必要です。なお、売買価格ごとに必要な印紙税は異なります。
契約書の記載金額 | 印紙税 |
---|---|
50~100万円 | 500円 |
100~500万円 | 1,000円 |
500~1,000万円 | 5,000円 |
1,000~5,000万円 | 10,000円 |
5,000万円~1億円 | 30,000円 |
5~1億円 | 160,000円 |
10~50億円 | 320,000円 |
仲介手数料
不動産会社が仲介に入って売却活動を行い成約へ至った場合は、報酬として仲介手数料が発生します。金額は以下の規定のとおりですが、「売買価格の3%+6万円」という簡易計算式でも概算が求められます。
200万円以下の部分 | 5% |
---|---|
200~400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
司法書士費用
住宅ローンを使って購入した不動産には、「抵当権」などが設定されているはずです。また、完済後の場合であっても登記簿に登記されているので、これを抹消するために司法書士へと手続きを依頼する必要があります。費用は数万円程度ですが、複数件の登記抹消であればさらに追加費用がかかります。
譲渡所得税
物件売却によって利益が発生した場合には、「譲渡所得税」の支払い義務が課せられます。なお、利益発生は以下に基づいて判断されます。
譲渡費 | 物件の売却価格 |
---|---|
取得費 | 売却不動産の購入価格(建物部分は減価償却) |
譲渡費用 | 物件売却にかかった費用 |
特別控除 | 売却時における譲渡所得から3,000万円まで控除可能な特例 |
上記の額を調べた後、「譲渡費-取得費-譲渡費用-特別控除」という計算式で利益を算出します。プラスになる場合は、譲渡所得税を支払う必要があります。
不動産会社の選び方を学ぶ
不動産売却にかかわるご自身の考えや要望がまとまったら、次はパートナーとも言える不動産会社選びです。どの会社に依頼するかで、不動産売却の満足度は大きく変わります。抑えておきたいポイントをまとめますので、参考にしてください。
地域密着の不動産会社が持つ強み
地域に特化していることは、不動産業にとって非常に大切な要素です。地元における「売れる価格」を熟知していることに加え、街の魅力を購入希望者にしっかりアピールしてくれるという点は大きなメリットと言えるでしょう。また、地域密着企業はその土地での評判が命。信頼を失うような仕事は、間違ってもできません。長いキャリアの会社であれば、「地域のことならどこにも負けない、という自信を持ち、不動産売却をサポートしてくれます。そのほか、営業担当者の転勤等もありませんので、末永いお付き合いで不動産のことを相談できるのもポイントです。
小さな疑問にも答えてくれる会社を選ぶ
不動産会社にとってのゴール――それは、単に物件を売却することだけではありません。優良不動産会社が目指すのは、その先にあるお客様の“満足”です。この考えを持つ不動産会社のスタッフは、つねに「お客様第一」の姿勢で接してくれます。たとえば、売却価格を提示する際にも、なぜその価格にしたのか、しっかりと理由を説明してくれるでしょう。
不動産会社選びの注意点
不動産会社のなかには、残念ながら「お客様第二」の考えで不動産売却を行うところも少なくありません。
たとえば、市場価格とかけ離れた高額査定を持ちかけてくるような会社も存在します。「こんなに高く売れるのか」と一見魅力的にも感じますが、結果的に買い主が見つからなければ意味がありません。最終的に、値下げの必要が出てくる可能性もあるでしょう。
こうした会社は、とにかく顧客を集め、契約することばかりに力を入れています。それはつまり、自分たちの利益を優先し、仲介手数料の確保だけを考えているのと同じこと。こうした考えの会社に、大切な不動産を預けられるでしょうか? 大切なのは、お客様と一緒になって不動産売却に取り組む姿勢です。それを基準に不動産会社を選ぶことこそ、不動産売却成功のカギと言えるでしょう。
大手不動産会社だから
早く売却できるは間違い?
大手不動産会社には全国にまたがる膨大なネットワークがあります。しかし、地元企業にそれがない、というわけではありません。
ほとんどの不動産会社は、「レインズ」という全国規模の不動産ネットワークに所属しています。ここで提供されているシステムを利用すれば、支社などがなくても全国の不動産会社へと情報を広められます。つまり、不動産売却においては、大手か中小なのかは現在、あまり問題ではありません。